東京駅の丸の内口に立つと、街は驚くほど整って見えます。皇居へ向かう行幸通り、南北に延びる丸の内仲通り、直角に交わる道、端正な間隔で並ぶビル。偶然にできた余地など、ほとんど残っていないように感じられる景観です。 けれども古地図を開くと、同じ場所にまったく異なる東京が現れます。江戸時代の切絵図には大名の名を記した広大な屋敷が並び、明治初期の地図では官庁や兵営がそれに取って代わります。やがて道路が引かれ、土地が測られ、煉瓦造りの建物が置かれ、東京駅を正面に据えた新しい軸が生まれました。 地図に描かれる線は、ただ ...