朝七時台の丸の内では、街がもう動いています。まだ会議の始まらないオフィスへ荷物を届ける人、床や窓を整える人、設備の状態を確かめる人、道を清める人。 東京駅から流れ出す通勤者の列が主役に見える時間にも、その舞台はすでに誰かの手で用意されています。 丸の内の歴史は、岩崎彌之助やジョサイア・コンドル、辰野金吾のような名のある人物と、三菱一号館、東京駅、丸ビルといった建築物を中心に語られがちです。 けれども、図面だけで建物は立ちません。企業が移転しただけでオフィス街が生まれるわけでもありません。資材を運び、煉瓦を ...