靖国通りを行き交う車の流れと、古書店の棚の前で足を止める人。神保町の街並みを考えるとき、この二つの速度を思い浮かべると、街の輪郭が少し違って見えてきます。 遠くへ人を運ぶ大通りがある一方で、一冊の本を探すためにゆっくり歩く場所がある。その距離の近さが、神保町らしい風景をつくっています。 地図では、道路は線、建物は四角い区画として描かれます。しかし、その線の脇で何が売られ、誰が働き、どこで人が立ち止まるかによって、街の印象は大きく変わります。神保町では、本を買うという小さな行動が、通りを歩く理由になっていま ...