東京駅の丸の内口を出ると、正面には皇居へ向かう広い行幸通りが伸びています。赤煉瓦の駅舎、高層ビル、整えられた並木。その風景から、ここがかつて城の一部として捉えられていた場所だと想像するのは、少し難しいかもしれません。 けれども「丸の内」という名は、現在の建物よりはるかに古い空間の記憶を抱えています。 「丸」は、丸い形の街という意味ではありません。城を構成する区画を本丸、二の丸、三の丸と呼ぶように、城郭の内側を思わせる言葉です。千代田区の町名由来板は、江戸時代のこの界隈が江戸城の内堀と外堀に囲まれ、「丸の内 ...